絵本と童話と関連キャラクター
たしませいぞう さん /えとぶん
偕成社(初版 1971.4), 31P
"し
ばてん"の生まれ変わりと思われた"たろう"の物語です。
ま
ず、"しばてん"とは、『むかし土佐(いまの高知県)にすんでいたといわれる妖怪』だそうです。
『姿は甲羅(こうら)やお皿のないかっぱのようで、人を見るとすもうをしかけてきます。
すもうの相手となった人は投げ飛ばされて、翌日から1ヶ月間くらい動けなかった』そうな。。
そ
んな"しばてん"の生まれ変わりと思われた"たろう"の、
ものすごい一生が、この絵本には描かれています。
ざくざくと描かれた絵から、"たろう"や"たろう"を取り囲む
村びとたちの心境が痛いくらいに伝わってきて、くいいるように読み進んでしまいます。
あ
る意味自分勝手な村びとたちですが、心境は、理解できる気もするんですよね。
さ
て、"たろう"は本当に、"しばてん"の生まれかわりだったのでしょうか…。
あ
とがきで田島さんは、
『ぼくがひそかに期待していることは、
子どもたちが、その成長の過程で、あるいは青年になってからでも、
絵本「しばてん」がかれらの心の中で発酵して
「ふっ」と「あの絵本の作者がいおうとしたことは、このことだったのか!」
と心に沈んでくれることです。』
と、言っておられます。
すでに大人であれば、心がしめつけられるような思いをするのではないでしょうか。
なんともいえない表情を浮かべた"たろう"の最後の姿は私の心の奥底に焼きつきました。